一口にホラーと呼んでも色々とあるわけですが昨今、再び注目株の「クトゥルフ」とサイコロフィクションの「インセイン」をざっくりくらべてみましょう。
クトゥルフ神話TRPG [クトゥルフの呼び声]
CoC、クトゥルフ神話TRPG。
宇宙的恐怖と狂気を前に謎を解き明かす探索者となるRPG。
原作であるクトゥルフ神話は創作小説から生まれたシェアードワールドで実在?の神話ではない。暗い印象とともにユーザーはニッチだったが、現在はもっとも注目を浴びている。
クトゥルフの宇宙的恐怖というよりもパニックホラーやライトノベルホラー感が昨今では人気。
SAN値ピンチ! と一躍有名になった正気度ルールがゲームの肝。
狂気に耐えて日常に帰還しよう。
判定はパーセンテージロール系。D100の下方。他、ダイスは色々と使うので準備しよう。
マルチジャンルホラーRPG[インセイン]
サイフィクのホラーTRPG。
PL手番によるサイクル進行とハンドアウトに秘められた秘密を情報項目にすることで、システマティックな運用ができるのが強み。
またハンドアウトが基本実装されていることでPL自体が怪奇事件へ関与しやすい。
マルチジャンルホラーと銘打っているだけあって世界観に制約はない。
日本的恐怖からB級、ジャンルを超えてクトゥルフも扱っているが、3巻からSCPという異常現象や都市伝説のデータベースを下地として遊ぶ指針も打ち出した。
判定はD6.
余談だがキャラシートに正気度があるのはホラーのお約束かw
システム面の違い
クトゥルフは古いTRPGなだけあってかなりファジーでGM(KP)の力量で左右されます。逆に言えば「やれること」は多いのでPLの創意工夫が生きるゲームではあります。*1
恐怖演出用のシステムは正気度(SAN値)を管理することで表現します。怖い出来事がおこればSANを削って或程度下がる(一度に失うなど)と狂気に陥ったりします。
物語としての進行は(シナリオの良し悪しもありますが)KPとPLである程度相互にカバーして遊ぶことになるでしょう。ゲーム内時間管理やキャラ位置、得られる情報はKPの都合よく管理できるタイプのゲームです。得もすればKPによる殺戮ゲームにも出来てしまうので、公正さをどこかに担保しておく必要があります。(たとえば既に遊ばれているシナリオに順ずるとか、かならずこの方法でなら助かるというルートを実現可能な難易度で設定するなど)
インセインはサイコロフィクションというTRPGのフォーマットで出来ているため、ゲームの進行はかなりシステマティックになります。PLは手番に一行動する。これが基本となります。やれることが限られるのでPLやGMのゲームへの負担は減ります。また情報や狂気をカード化することで公正さを担保できているのが強みです。秘匿ハンドアウトの仕組みも秀逸です。
恐怖演出用のシステムは正気度と狂気カードです。正気度はSAN値と似たものだと思って良いでしょう。恐ろしい出来事にあえば減っていきます。狂気カードは「どう狂っているか」を指定するロールプレイ補助の側面を持つギミックです。「~したら××する」などのフォーマットが良く使われます。例「刃物を持ったら人を試し切りしたくなる」など。
ただ「窮屈」な側面はあります。PLが様々な工夫を思いついても情報カードの調査に成功したかどうかの方が意味を持ちます。
*1:自ずとKP負担も増える